理事長所信

理事長 星野 健太

基本理念

有志共成

基本方針

  1. 持続可能な地域の創造
  2. ⼈が⾃然と集う組織の構築
  3. 連携がもたらす豊かな社会の実現

⼈⽣には幾度となく転機が訪れる
我々は何度もその転機に⾃ら選択をして⼈⽣を歩んできた
その転機は時に⾃らの選択とは関係なく⼤きな試練となる
それは簡単には解決できない⼤きな試練である
しかしその転機こそ新たな時代を創造する起点となる

はじめに

 ⽇本における⻘年会議所の始まりは、1949年9⽉、戦後4年という復興もままならず混沌とした時代背景の中で、諸先輩⽅が「新⽇本の再建は我々⻘年の仕事である」との設⽴趣意書を掲げ、⻘年会議所運動を始動させました。まさに今⽇のような先⾏きを⾒通すことの難しい社会状況は、⻘年会議所運動の創始の社会状況と重なる部分もあり、⻘年会議所はこのような有事の時代にこそ、真価が問われ、未知の可能性を切り拓かなければならないのです。

 また、埼⽟中央⻘年会議所は5つの⻘年会議所が「市⺠が誇りに思える真の⾃⽴都市の実現」という⼤きな⽬的のために解散し、新たな⻘年会議所として誕⽣した歴史があります。我々は活動エリアである2市1町の特徴を活かし、5つの⻘年会議所が紡いできた歴史を継承しながらも、今こそ志を共有し、皆で⼒を合わせて、率先垂範の精神で⽬の前の課題を解決し続けなければなりません。

持続可能な地域の創造

 我々の活動エリアであるさいたま市、上尾市、伊奈町は、豊かな⾃然を残しながらも都市化が進み、古くから根付く⼈形⽂化、盆栽⽂化などの伝統⼯芸やサッカーを中⼼としたスポーツ⽂化、鉄道⽂化など魅⼒溢れる地域資源が数多く存在しています。また、近年では各種交通網の発展により東⽇本の⽞関⼝として住みやすいまちへと発展を遂げ、新たな⼈々が移り住み2市1町の⼈⼝は158万⼈を超え、その⼈⼝は2030年まで増加すると⾔われています。住みやすいまちとして認知が進んでいる反⾯、東京のベッドタウンとしての役割も⼤きく、約42万⼈が⽇々東京へ通っており、通勤電⾞の混雑や、道路の慢性的な渋滞といった過密問題は近年の⼤規模災害や感染症など有事の際に⼤きなリスクとなります。今こそ我々がこの地域の魅⼒を明確にし、東京圏にありながらも東京だけに依存するのではなく、真の⾃⽴都市として地元に⽬を向けた活動を通して地元定着意識を醸成することで、住み続けたいまちへと発展します。

 そして、地域の将来を担う⼦供たちの豊かな成⻑には⼤⼈との交流が不可⽋であり、特に⾃分の親以外の⼤⼈との関わりは成⻑期にある⼦供の思考に様々な影響を与え、多様性に満ちた視野の広い⼤⼈へと成⻑します。⼦供たちがこの地域の歴史や魅⼒を継承しながらも、未来を⾒据えた本物の社会体験の機会を提供することで健全な⻘少年の育成を実現します。また、早い時期から政治参画への意識を⾼めておくことも地域の将来を担う⼦供たちの教育において⾮常に重要です。様々なメディアが情報を⼀⽅的に発信してくる現代社会において、物事の真偽を⾒極め、⾃らの意思で選択ができるような⼤⼈に成⻑することが地域の継続的な発展に繋がり、持続可能な地域となります。

⼈が⾃然と集う組織の構築

 綱領の⼀⽂に「志を同じうする者相集い⼒を合わせ」とあるように、組織づくりにおいて最も重要なことは「志の共有」であると考えます。それは⻘年会議所に限らず会社や家庭においても同じです。まずは会員⾃⾝がこれからの時代に必要とされる知⾒を習得し、地域における課題解決を実践できる強い実⾏⼒と⾏動⼒を兼ね備え、周りにいる⼈たちを巻きこんでいける魅⼒ある⼈材に成⻑しなければなりません。また、会員の多くは経営者や管理職といったそれぞれの組織のリーダーであり、⻘年会議所での学びの機会を積極的に活⽤することで会員個⼈の成⻑だけでなく、所属する組織の成⻑にも繋がり、我々の運動に更なる共感が⽣まれます。

 ここ近年のITの著しい進歩によって⼈びとの社会的価値観は⼤きく変化してきました。しかし⼀⽅で会員を受け⼊れる我々の組織は変化してきたでしょうか。それが平均在籍年数の短期化、⼥性会員⽐率の低さ、退会率の上昇などに表れています。⻘年会議所はその名の通り会議を通じて物事を決定していくという特徴がありますが、時にその会議が効率の悪さを感じる時もあります。⻘年会議所らしさを継承しつつ、建設的で活発な議論ができる効率的な会議運営のあり⽅を模索し、これからの時代に即した柔軟かつ開放的な組織を形成していくことで、⻘年会議所がより地域に必要とされ、⼥性や20代の⼼を掴み、多種多様な⼈材が⾃然と集まります。また、新たな会員が持つ価値観や発想には今までの⻘年会議所運動にはない新たな価値があります。そのアイディアを積極的に活⽤して継続的に情報発信し、会員だけでなく地域の⽅々とも想いを共有することで⻘年会議所の価値を⾼め、⼈が⾃然と集う組織へと繋がります。

 そして、JCIやJCI⽇本が主催する各諸⼤会への参加や出向制度を活⽤した⾃⾝の組織以外のメンバーとの関わりも重要です。出向先での経験だけでなく、⾃分⾃⾝や⾃分の置かれている環境を俯瞰的に⾒ることで、組織全体に刺激を与え更なる好循環を起こすことになります。

連携がもたらす豊かな社会の実現

 我々の活動エリアでも「SDGs未来都市」への選定や、公⽴中学校教育への取り⼊れなどSDGsへの取り組みが⼀般的になり、認知度も向上しています。地域を牽引し続ける我々は誰ひとり取り残さない社会を実現するために、SDGsを「認知」から「実⾏」へ移すタイミングに来ています。地域社会においてパートナーシップを通じて、SDGsをまちづくり、ひとづくり、組織づくりに活⽤して運動を展開していきましょう。

 近年の⼤規模災害や感染症などの脅威によって、我々の地域も例外なく新たな課題が顕在化し、経済への影響などの問題が発⽣しています。しかし、地域の継続的な発展には地域経済の活性化が必要不可⽋であり、課題解決のために⻘年会議所も積極的にビジネスの機会を活⽤する必要があります。まずは様々な脅威の中、多くの企業や個⼈が経済的に厳しい現状において、今この地域に求められる強靭さとは何かを発信します。また、解決すべき課題を改めて検証し、企業や団体と連携しビジネスを通じてどのように地域課題を解決していくかを模索する必要があります。

 そして、地域の活発なまちづくりは我々⻘年会議所だけでは実現できません。我々の活動エリアにおける⾏政・企業・団体と積極的にパートナーシップを構築することで我々の運動を広く展開することが可能となり、より多くの地域市⺠を巻き込んだ運動ができます。そのためには、我々の運動や、パートナーシップを構築することへの理解と共感を促さなければなりません。さらには、組織内外において築き上げた我々の運動を応援してくれる⽅々との連携をより強固なものとし、援助だけでなく共感とさらなる交流を発展させていきます。

おわりに

 誰がこんな未来を想像しただろう

 我が国⽇本は令和という新しい時代を迎え、オリンピックという4年に1度開催される世界的なスポーツを通じた平和の祭典により、国際社会との連携を強固とし、世界から集まる⼈々に⽇本の魅⼒を感じられる機会に期待感と⾼揚感で満ち溢れていました。しかし、2019年末に発⾒された新型コロナウイルス感染症(COVID―19)は世界中に感染が広まり、瞬く間に歴史的な⼤流⾏を引き起こし、世界中の多くの国で都市封鎖となり、外出を制限され世界経済は完全にストップしました。

 しかしその反⾯で世界中の⼤気汚染が⾶躍的に改善され、世界中の海では絶滅⼨前の海洋⽣物が姿を現すなど環境改善が表れています。つまり今まで我々が豊かな暮らしと引き換えに、住み暮らす地球に⼤きなダメージを与えていたことが顕著に表れています。これから必要なことは今までの当たり前をこれからの当たり前にせず、今こそ⼀⼈ひとりが当事者意識を持って地域に向き合いながら、今までのような経済的な豊かさだけでなく、⼼の豊かさを優先した新たな⽣活を継続する必要があります。⾃分⼀⼈だけでなく、周りにいる多くの⼈々を巻き込み、共感を得ながら、連携して⾏動をしていくことで成し遂げられる明るい未来は必ずあります。

 さあ今こそ地域と向き合い⻘年会議所だからできることを⾏動に移し、先⼈達が築き上げてきた伝統を受け継ぎ新たなアクションを起こして⾏こう。失敗を恐れず同じ志のもと仲間と⼀緒に新たな時代を創造しよう。⾃らが選んだ⻘年会議所という道なのだから。