理事長所信
理事長 望月 諭
基本理念
考動
~いま為すべきことを、仲間と共に~
基本方針
- 信念と柔軟さを持つリーダーの育成
- 持続可能な未来を見据えた地域の創造
- 先進的価値を生み出す地域社会との連携
- 運動効果を最大化する組織体制の構築
はじめに
これまで課題視されてきた気候変動や自然災害による被害の顕著化、新型感染症への対応や世界情勢の不安などにより、人々の生活は大きな変化を余儀なくされています。先行きを見通すことが非常に難しい昨今、変化を嘆くのではなく、新たな可能性に向け「考動(こうどう)」することが青年会議所の使命であると考えます。
戦後の復興から間もない1949年9月、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という圧倒的な使命感と当事者意識のもと、日本の青年会議所運動はスタートしました。また埼玉中央青年会議所の先輩方は地域に先駆けて組織を変革させ、過去の大災害の際には率先して支援活動を展開し、多くの被災者や避難者の支えとなりました。国や地域を守り発展させようという想いは脈々と受け継がれ、現在の我々の活動があります。今こそ我々は創始の精神・活動地域や会の存在意義と向き合い、いま為すべきことを本気で考えて「考動」に移すことが必要です。
信念と柔軟さを持つリーダーの育成
青年会議所には企業・団体・地域などのリーダーを目指す人材が多く在籍し、日々その資質を磨いてきました。そしてこれまで青年会議所が輩出してきたリーダーとは、社会的地位や高い能力のみを求める人のことではなく、自ら率先して行動し、多くの仲間と協力者を作って巻き込み、共感と影響を与え、共に成長し合える人材であると考えます。また、変化が激しく見通しの立てにくい昨今におけるリーダーには、未来への明確なビジョンを示す力、迅速かつ責任ある決断をして実行する力がさらに強く求められます。これらの人格と能力、そして「考動力」を兼ね備えたビジョナリーリーダーを計画的に育成し、地域社会の発展に貢献する人材を継続して輩出し続けます。
時代の変化に合わせて考え方や行動を刷新する一方で、青年会議所としての変わらぬ精神を学び、実践することも大切です。有事・平時を問わず率先して行動した先輩方の想いを知ることは、異なる時代で活動する我々にも大きな気付きと学びを与えます。創始の精神や活動地域の成り立ち、会の存在意義への理解を深め、次代へ継承することの大切さを知ることで、当事者意識を持ってさらに意欲的に活動し、新たな発想と「考動」を起こす会員の創出へと繋げます。
また、人と人が学び合い、切磋琢磨しながら成長するための風土や仕組みがあることは、今も昔も変わらない青年会議所の大きな魅力です。この魅力を最大限に活かすためには、会員同士のコミュニケーションの質を向上させ、互いの持つ魅力や特性を知り、成長し合う機会を作ることが重要です。参加するほどに気付きと成長の機会があることを知った多くの会員によって組織が活性化され、固い絆で結ばれた生涯の仲間作りへと繋がります。
持続可能な未来を見据えた地域の創造
我々の活動エリアである上尾市・伊奈町・さいたま市は近年、交通網の発展や生活・教育環境の充実などによって人口が増加し、魅力的な地域として全国的に注目度が高まっています。我々は、地域に存在する魅力と課題について地域市民と共に理解を深め、共感を得て、愛着を深めてもらう取り組みを展開します。地域への愛着を深めた多くの地域市民は、このまちを住み続けたいまちとして認識し、愛するまちのために能動的に地域の魅力発信や課題解決に関わり、持続的なまちの発展に寄与します。
また、我々の住み暮らす地域が持続的に発展するためには、地域の将来を担う子どもたちの健全な育成が必要です。子どもたちが地域の魅力や課題を身近に感じ、自身の考えを持って適切に行動する意識と能力を持った人材へと成長することが、この地域の明るい未来へと繋がります。そのために我々は現代の教育方法の利点や課題への理解を深め、青年会議所だから実施出来る教育の機会を作ります。そして自ら学び、論理的に考えて行動に移すことの大切さを知った青少年を育む機会を創出することで、子どものみならず保護者や会員にも気付きと成長をもたらし、青少年教育に積極的に関わることへの理解を深めます。
我々の活動エリアには多くのスポーツチームや団体が存在し、行政も様々なスポーツイベントを誘致・開催するなど、スポーツを身近にする取り組みが展開されています。そして地域に存在するこれらの魅力を更に増進するべく、我々だからこそ起こせる行動があると考えます。チーム・行政・地域市民たちと我々が協働し、スポーツ都市としての新たなまちの魅力を創造・発信することで、地域市民の健康への意識向上、地域間・世代間の交流促進、そして地域への誇りと愛着の醸成へと繋がり、活力あふれるまちづくりに貢献します。
先進的価値を生み出す地域社会との連携
近年の社会環境の大きな変化は、我々の生活に多大な影響を与えました。新たな生活様式を取り入れて環境に適応し対処する一方で、外部環境の大きな変化は容赦なく日々の生活や経済活動を圧迫し続けています。個人や企業、団体が単独で対処することには限界があることを学んだ我々は、地域を同じくする行政や団体との更なる連携の方法を模索し、地域社会との活動を加速させていかなければなりません。
特に有事の際の迅速な情報収集と対応には、日常的な交流を含めた協力体制を構築する必要があります。
平時における強固な連携や円滑なコミュニケーションが我々の活動の幅を広げると共に、災害や社会情勢の変化に負けない地域としての力を向上することに繋がります。我々の活動エリアにはSDGs未来都市や脱炭素先行都市への選定、スーパーシティ構想といった未来へのビジョンが示されており、これらに対する地域市民からの認知度や関心を高め、個人の意識と行動を変えるべき時期であると考えます。国や地域が抱える課題を解決する先進都市を目指すに当たっては、我々が率先して未来に向けた方針や都市計画への理解を深めることに加え、協力関係にあるパートナーと知見を結集し、まちを正しく変革させることの必要性を発信する必要があります。一人でも多くの地域市民の意識を変革させ、地域課題を自分事と捉えて解決に関わってもらうために、我々とは異なる知見と特性を持つ組織・団体と連携した交流を行うことで、相乗効果を生む活動に繋げます。
運動効果を最大化する組織体制の構築
青年会議所で実施される例会や事業、総会・理事会といった会議には、厳粛なルールや手法が存在します。時に堅苦しく感じることがあるかもしれませんが、身に付けることで多くの企業や団体で有効に活用できる、非常に価値が高いものです。会議の効果を高める先進技術を利活用しながらも、青年会議所が継承してきた手法への理解を深め、良い緊張感と格式を持った運営方法を学び実践することで、時代の変化に対応する強い組織体制を構築します。
また、我々が大きな運動を起こし地域にインパクトを与え続けるには、質の高い企画構築と会議運営が必要であり、これらを効果的に実現するためには入念な事前準備が必須となります。そして青年会議所がこれまで積み重ねてきた多くの有益な資料や経験を活かしながら、新たな手法や着眼点を身に付けることも重要です。企画構築の手法と有用性についての理解を深めることと、各種会議で議論される企画に対し、厳粛かつ立案者に寄り添ったチェック体制へのアップデートを両立させ、互いに尊重し高め合う会議を行い、運動の効果を最大化する仕組みを作ります。
青年会議所には出向制度があり、より大きな規模や目的の事業に関わることが可能です。2017年に開催された公益社団法人日本青年会議所 第66回全国大会埼玉中央大会の主管と成功によって出向への門戸は更に大きく開かれ、多様な仲間と出会い、視野を広げ成長するチャンスが拡大しました。この機会を価値あるものと認識し、継続・発展させることが埼玉中央青年会議所のさらなる成長へと繋がります。埼玉中央青年会議所に所属しているからこそ得られる機会を有効に活用し、得難い経験を持ち帰って共有・実践することで、個人としても組織としても成長する機会を創出します。
青年会議所の組織体制と制度を活かし、運動の効果を高めるためには、我々の存在や活動内容を効果的に発信していく必要があります。計画的な広報活動と効果的なブランディングを実施することで青年会議所活動への共感を呼び、より多くの地域市民や行政・諸団体を巻き込んだ大きな運動へと発展していきます。
そして、会員を拡大すること、新入会員が積極的に活動に取り組む意欲を持つことは、組織を維持・発展するために不可欠な取り組みです。特に近年、埼玉中央青年会議所の会員数は増加傾向にありますが、入会から卒業までの期間が短い会員の割合も増加したことを鑑み、共通の目的意識を持って日々の活動に取り組むことが急務であると考えます。多様な立場と考えを持った新たな仲間たちに対し、活動に参加することによって得られる様々な機会、有意義な青年会議所活動や活用方法への理解を深めてもらい、共感を得て積極的に「考動」する意識を醸成します。より多くの会員が青年会議所活動に参画することで活動の規模と質が向上し、より大きな運動を生む組織として成長します。
おわりに
地域貢献や仲間作りの団体は数多く存在しますが、青年会議所でしか得られない知識と経験、先輩方から受け継いだ熱意と行動力を、私は誇りに思います。継承され進化を続けてきた知見と実行力を結集した我々が実施する活動の一つひとつがやがて大きな運動となり、住み暮らす地域、そして国が発展・成長することに繋がり、世界から差別や不毛な争いが無くなることを信じています。
私自身、近年の大きな環境変化によって、会社や家庭の見通しが立てづらく、何を選択し行動するべきか悩む日々もありました。「なぜこんな時代になってしまったんだ!」と自身の力の小ささを嘆きたくなる一方で、どんな時でもひたすら前を向き、自分たちに出来ることを必死に考え、率先して行動を起こす人々の姿が頭に浮かびました。それは私が青年会議所に入会間もない頃から背中を見せてくれた先輩方、そして共に活動してきた仲間たちの姿であり、これまでに何度も私を奮い立たせてくれるものでした。この体験と感動を一人でも多くの仲間と共有し、更に情熱を持った活動に繋げたいと思います。
いま為すべきことを本気で考え、共に「考動」しましょう。